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冬の雑木林の営みあれこれ静まりかえった冬の雑木林。枯葉色一色の林の中でも寒さに耐えて生活を営む昆虫や野鳥たち。そんな冬枯れの落ち葉の間からは、芽吹き始めた草花に春が近いことを教えられます。この冬の自然の営みをまとめてみました。 |
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冬の雑木林の営みあれこれ静まりかえった冬の雑木林。枯葉色一色の林の中でも寒さに耐えて生活を営む昆虫や野鳥たち。そんな冬枯れの落ち葉の間からは、芽吹き始めた草花に春が近いことを教えられます。この冬の自然の営みをまとめてみました。 |
「冬に命を繋ぐ」冬尺蛾
真冬にだけ成虫が出現するという変わった生態を持つ「冬尺蛾」と呼ばれる蛾の仲間がいることを知り、その姿を追ってみました。幼虫時代は尺取虫であることから尺蛾と呼ばれています。 冬尺蛾の仲間は36種類あると言われ、その特徴は真冬に出現して生殖活動をし♀の翅が退化して縮小又は欠け成虫は餌を摂りません。 氷点下の気温にも耐えて活動できる昆虫の体の仕組みはグリセリンなどの凍害防御物質を体内に蓄積させているようですが、フユシャク類についてはまだ研究途上のようです。 体を過冷却状態に保ち、翅の縮小(♀のみ)により体表面積を小さくして低温の影響を防ぎ、また、餌を摂る機能を失うことにより体内に余計な不純物を取り込まないようにして体が凍結するのを防いでいるようです。 主に夜に活動する冬尺蛾の交尾行動は、飛ぶことができない♀が樹の幹などに止まって性フェロモンを出して♂を呼びます(コーリング行動)。これだと暗がりでも♂は♀を探し当てることができるのです。 過冷却 |
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クロテンフユシャク 徳島市眉山1月28日 |
コナミフユナミシャク? 徳島市眉山1月18日 |
チャオビフユエダシャク 徳島市眉山2月14日 |
偶然に公園の休憩所でチャバネフユエダシャクの♀を見つけ持ち帰って、交尾のシーンを撮るべく近所の公園のサクラの樹に夜になってから放してみました。その公園で見つけた蛾の成虫を近くのサクラに止まらせて様子を見ると下の写真のように♀は活発に動き出し、写真では分かりませんがしきりにお尻を動かします。♂を呼ぶコーリングと言われる動作のようです。 一方の♂らしきものは全く動きません。それもそのはずです。後で分かったのですが、フユシャクではなく種類が全く違うミドリハガタヨトウという越冬成虫だったのです。その後もメスはしきりにコーリングしますが一向に♂が現れません。この公園にはチャバネフユエダシャクの♂は居なかったのか、それとも遠く離れた場所にいたのか、とうとう交尾シーンは見ることができませんでした。 |
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暗がりの中、しきりに動くチャバネフユエダシャク♀。観察したのは、活発に活動するらしい日没1時間後の18時11分から18時40分の間です。ちなみにその日(12月29日)の徳島県の日没は17時01分でした。その後、夜の公園へ5日間通って観察しましたが、交尾の様子は見られず、そのうちに小鳥の餌食になったのか♀の姿はとうとう見られなくなりました。 |
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チャバネフユエダシャク♀ 翅が退化してありません。卵を産むためだけでしょうかお腹がふくらんで見えます。模様はホルスタイン柄です。 徳島市文化の森(採取地)12月29日 |
ミドリハガタヨトウ(成虫越冬) 翅の右端上部にわずかに緑色が見える。 石井町12月29日 |
冬を越す蛾たち |
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キノカワガ 左上は桜の木にキノカワガが止まっています。見事に樹の皮に擬態しています。これなら天敵の鳥にも見つかりにくいのでしょう。 徳島県石井町 1月11日 |
ウスギヌカギバ 薄い翅に飴を垂らしたような模様です。美しい蛾のひとつです。 徳島市眉山 2月25日 |
スモモキリガ 幼虫の食餌となるのはスモモ、ウメ、サクラなどのバラ科、クヌギ、コナラなどのブナ科。 徳島市眉山 2月21日 |
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クロモンキリバエダシャク フクジュソウを撮影に行った帰りに、とあるお堂で見つけたもの。 徳島県三好市東祖谷 2月28日 |
マイコトラガ 舞子虎蛾とでも書くのでしょうか。派手な模様の早春の蛾です。 徳島市眉山2月25日 |
クロモンウスチャヒメシャク 二つの白い点が可愛いです。べたっと張り付くように止まっています。 徳島市眉山 2月14日 |
カバナミシャクの仲間 初心者の私にはこの仲間はどれも似ていて同定できません。 徳島市眉山1月31日 |
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マエアカスカシノメイガ 透けて見える翅と翅の縁取りの筋が特徴。上品な蛾の印象です。 徳島市眉山 1月21日 |
キバラモクメキリガ 枯れ枝そっくり。これほど似ると擬態も芸術作品です。 徳島市眉山1月21日 |
ハイイロフユハマキ かつてフユシャクモドキと言われていたようにフユシャクにそっくりです。 徳島市眉山 2月22日 |
テングチョウ 蛾ではなく蝶の仲間。暖かい日差しを浴びて飛び回ります。 徳島市眉山1月31日 |
雑木林や公園で冬尺蛾を探していると真冬にもかかわらず、たくさんの種類の蛾が活動しているのを知りました。若い頃は「夜の蝶」に気を引かれたものですが、人間に嫌われ者の「蛾」ですが、美しい翅や巧妙な擬態に引きつけられそうです。キバラモクメキリガ等どうしてこのような模様が出来上がったのか造形の妙に不思議がいっぱいです。 日本に5000種ほどいるという蛾の同定は初心者には非常に難しい作業です。自己流に同定しましたが、誤りがあればご教示いただければ幸いです。 |
ヤママユガの仲間の繭 |
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ヤママユガの繭 徳島市 眉山12月31日 |
ウスタビガの繭 徳島県 神山森林公園2月2日 |
クスサンの繭 徳島県 寒峰2月28日 |
ヤママユガは天蚕(てんさん)とも言われ、繭から採れる黄緑色の絹糸で着物などが作られます。天蚕糸は蚕(かいこ)から作られる絹糸よりも美しく、光沢があり、皺にもなりにくく、「繊維のダイヤモンド」などと呼ばれています。 戦国時代に外国から綿や蚕の絹が入ってくる以前の日本は庶民は麻、貴族は天蚕から採った絹を着ていたらしい。この糸で作られた白無地の反物は○万円から○○万円もするという。 ウスタビガの繭は、その形から吊りカマスとか山柄杓とも呼ばれます。ここではカエデの小枝にぶら下がって寒風に揺れていました。 クスサンの繭は網籠のようで透けて見えることから透かし俵と呼ばれるそうです。近づいて見ると艶のある素材でしっかりと作られているのが分かります。 |
オレンジ色のシコクフクジュソウ |
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オレンジ色のシコクフクジュソウ オレンジ色の福寿草です。普通の黄金色のフクジュソウの群落の中にポツポツとありました。近くに咲いていた黄色の花を持ってきて比べてみました(最下段右端)。かなり色合いが違うことが分かります。葉の色も全体に赤みを帯びています(最下段右から2枚目、左側がオレンジ色した花の葉)。 茎の断面は中実(下から2段目右から2枚目)であることからミチノクフクジュソウやシコクフクジュソウとは異なります。葉の縁や表と裏、葉柄には、ほとんど毛が無いか、ごく少ないです(下から2段目)。ガク片は花弁と同じかやや短いようです(最下段左2枚)。 フクジュソウの色変わりでしょうか。秩父紅と呼ばれる品種があるようですが、それに比べればオレンジ色が薄いようです。ただ気になるのは、私が見たオレンジ色の個体は全て咲き始めか、咲いて間もない花ばかりです。日が経つと通常の黄色に戻ってしまうのでしょうか。何日間か通って観察する必要がありそうです。 キンポウゲ科フクジュソウ属 撮影日:3月15日 |
シコクフクジュソウ |
環境省レッドデータブック | 絶滅危惧U類 |
徳島県レッドデータブック | 準絶滅危惧 |
細葉?オオハナワラビ |
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細葉オオハナワラビ? | オオハナワラビ | |
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細葉オオハナワラビ?の葉 | ||
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左:細葉オオハナワラビ? 右:オオハナワラビ |
細葉オオハナワラビ?の葉 |
細葉オオハナワラビ?の葉裏 |
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上:オオハナワラビ 下:細葉オオハナワラビ? |
オオハナワラビ |
オオハナワラビの葉裏 |
細い葉をしたハナワラビとオオハナワラビは同じ場所に生えていました。葉の形はニンジンの葉のような感じです。ネットで調べると伊豆大島にはモトマチハナワラビという名のハナワラビがあるようですが、手元の図鑑には、よく似た葉のハナワラビの記載がありません。何か他のシダとの雑種でしょうか。何世代にも渡ってこの形質が引き継がれるのかどうか、これを見た場所には十数株見られましたが他の離れた場所にもあるのかどうか、もう少し調べてみる必要がありそうです。 ハナヤスリ科ハナワラビ属 撮影日:2月8日 |
カスミサンショウウオ |
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この常葉・落葉樹林の中の小さな沢にはカスミサンショウウオが棲むということを知って探してみました。ありました。沢の水溜まりの中に卵のうが4〜6対見えました。卵のうの中で幼体が動いている様子が分かります(写真下段左から右へ)。成体を探してその周りの落ち葉や小岩をめくってみましたが見つけることができませんでした。この小さな沢は、雨が降れば結構水が流れますが、このときは水の流れが無く、涸れ沢になっていました。雨が降らなくても水が涸れない場所を親は知っているのでしょうか。水が涸れずにあったのはこの一箇所だけでした。 反復説(生物発生原則) 個体発生の過程を見るとその種が進化してきた系統の発生過程を短縮した形で繰り返して見えるという仮説です。生物発生原則としてヘッケルが提唱したものが有名です。 ヒトの発生期の初期の胚は「えらひだ」を持っており、胚の時期が魚類と共通する特徴を持ちます。両生類もヒトも、ごく初期の胚ではそっくりに見えます(上段右側の写真)。 徳島市にて 2月8日 |
ヒレンジャクと宿り木 |
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5年ぶりでしょうか。やっとマドンナに再会できました。20羽前後でしょうか、近所のヤドリギでしきりに実をついばんでいました。右の写真は排泄シーンです。糸を引くように粘り気のある糞をしています。糞には消化できなかったヤドリギの種子が混じっているのが見えます。 ヤドリギはパラサイト生活をおくる半寄生植物で種子が地面に落ちてしまうと育ちません。こうして粘っこい糞とともに落下する際に木の枝や幹に引っかかってその場所で分布を広げていきます。 ヒレンジャクは上空から冬枯れの林の中でひときわ目立つヤドリギ(下の写真、下段右。白く見えるのは雪の名残り。竜王山 3月18日)を見つけ、そして粘着性のある実を持つヤドリギは彼らの餌になることによって子孫を増やしていきます。ヒレンジャクとヤドリギはまさに共生関係にあるのです。自然の仕組みの巧みさに驚嘆します。 徳島県石井町 3月7日 |
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ヤドリギの仲間には他にマツグミ、ヒノキバヤドリギ、オオバヤドリギがあります。上の写真で赤い花を付けているのがマツグミで、上段右がモチノキに寄生していたヒノキバヤドリギです。 マツグミ:徳島県神山町 8月4日 ヒノキバヤドリギ ビャクダン科ヒノキバヤドリギ属 撮影日:3月18日 |